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ギリシャ不動産 日本人向け購入ガイド|ゴールデンビザ80万EUR時代の実務と税制
※本記事の金額は 1EUR=約165円 で換算しています。
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読み物パート
日本人にとってのギリシャ投資、いま何が「旬」なのか
日本人投資家の海外不動産投資先として、ギリシャは長らく「知る人ぞ知る穴場」だった。それがここ数年で一変した理由は3つある。第一に、2024年3月31日のゴールデンビザ改正により、アテネ・テッサロニキ・ミコノス・サントリーニなど人気エリアの最低投資額が25万ユーロから80万ユーロ(約1億3,200万円)へと3倍以上に跳ね上がったこと。「今後さらに引き上げられる可能性がある」との観測から、駆け込み需要が続いている。第二に、2026年12月31日まで個人のキャピタルゲイン税が停止されていること。第三に、ユーロ・円の為替水準と日本の金利上昇により、資産の一部を欧州ハードアセットへ分散する動機が強まっていること。
日本人向け承認件数は累計で約600件と、中国・トルコ・イスラエル勢に比べると小規模だが、2024年以降は月平均10件超のペースで伸びている。東京・大阪の富裕層ネットワークでは「次のポルトガル」との認識が定着しつつある。
ゴールデンビザの最新基準(2026年4月時点)
ゴールデンビザの投資基準は、2024年改正後、地域と物件タイプにより4段階に細分化された。(1)アテネ・テッサロニキ・ミコノス・サントリーニ・人口3,100人超の島:80万ユーロ/最低120㎡の新築または一棟物件、(2)その他本土・島嶼部:40万ユーロ/最低120㎡、(3)歴史的建造物の改修:25万ユーロ(改修費含む)、(4)商業・工業建物の住宅転用:25万ユーロ。日本人が狙うアテネ中心部・リビエラの住宅は基本的に(1)のカテゴリで、80万ユーロが最低ラインとなる。
ビザは5年更新制で、滞在義務なし(年1日も不要)、家族(配偶者・子21歳まで・双方の両親)も同時取得可能。7年間の保有で市民権申請資格も得られるが、ギリシャは二重国籍容認ながら日本は原則不可のため、日本人は永住権保有が現実解。
税制:日本人にとっての「おいしいポイント」と「落とし穴」
日本人投資家にとって、ギリシャの税制は総じて有利だ。取得時の物件移転税は3%(新築はVAT 24%だが現在停止中で3%転移税適用)、年次のENFIA(不動産保有税)は評価額500万ユーロの物件で年2,500〜4,000ユーロ程度(災害保険加入で▲20%)。賃貸収入は月1,000ユーロ(年12,000ユーロ)以下の部分は15%と低い税率で、日本の不動産所得と同水準だ。
最大のハイライトは、2026年末までキャピタルゲイン税が停止中であること。5年保有で5,000万円の含み益が出ても、売却益への課税はゼロ。これは日本(20.315%)、米国(最大20%)、欧州主要国(28〜36%)と比較して突出して有利。加えて、長期賃貸(120㎡以下、3年以上賃貸)への所得税免除、非Dom制度(50万ユーロ投資+年15万ユーロ定額課税)など、税制メニューは多彩である。
一方で落とし穴は、(1)日本居住者はギリシャ賃貸所得に対し日本で総合課税(日本ギリシャ租税条約あり、二重課税控除可)、(2)ENFIAは毎年3〜4月に徴収される確定申告型、(3)日本の国外財産調書(5,000万円超)・財産債務調書の対象、(4)相続時には日本の相続税が適用される(ギリシャ側の相続税は配偶者・子で1〜10%)といった点。特に(4)は、ギリシャ国内の「世界銀行保証」的な信託スキームが使えないため、生前贈与や法人保有スキームでの対策が必要になる。
おすすめエリア:日本人の資金規模別ベストチョイス
(A) 投資予算1.3〜1.8億円(80〜110万ユーロ)の場合:アテネ中心部のコロナキ(Kolonaki)の既存高級アパート(100〜150㎡)、または グリファダ(Glyfada)の海近マンション。コロナキはキャピタル重視、グリファダはエリニコン効果で中長期の二桁上昇が期待できる。
(B) 予算2〜3億円(120〜180万ユーロ)の場合:ヴーラ・ヴリアグメニの海景ペントハウス、またはキフィシア(Kifisia)の庭付きメゾネット。家族用セカンドホームとしての実用性と資産性を両立。
(C) 予算3億円超:エリニコン・リビエラタワー分譲、または島嶼部(パロス・コルフ)のラグジュアリーヴィラ。前者は短期的なブランド資産、後者は短期賃貸運用で6〜9%のグロス利回りが狙える。
購入プロセスと実務上の注意
購入プロセスは概ね45〜60日。(1)AFM(税番号)取得(代理可・1〜2週間)、(2)ギリシャ銀行口座開設(要渡航または代理)、(3)物件選定・交渉(1〜4週間)、(4)予約契約(手付10%)、(5)デューデリジェンス(タイトル確認・抵当権チェック、3〜6週間)、(6)公証人による本契約・代金決済、(7)登記(Ktimatologio)完了。英語対応のバイリンガル弁護士(報酬:物件価格の1〜1.5%)、地元公証人(0.8〜1.0%)、代理権限のある税務代理人は必須。日本語対応が可能なエージェントはアテネで数社あるが、法的手続きは必ず独立した弁護士に依頼することが重要。送金は日本の銀行からギリシャ銀行口座へのSWIFT送金となるが、マネーロンダリング規制により原資証明(給与・事業収益・資産売却等)の提出が厳格化しており、事前準備が必要。
データパート
ゴールデンビザ投資基準(2024年改正・2026年時点)
| 投資タイプ | 最低投資額 | 最小面積 | 対象エリア |
|---|---|---|---|
| 不動産(高需要エリア) | 80万EUR(約1.32億円) | 120㎡/単一物件 | アテネ、テッサロニキ、ミコノス、サントリーニ、人口3,100人超の島 |
| 不動産(その他エリア) | 40万EUR(約6,600万円) | 120㎡/単一物件 | 上記以外の本土・島嶼部 |
| 歴史的建造物改修 | 25万EUR(約4,125万円) | 制限なし | 全国 |
| 商業→住宅転用 | 25万EUR(約4,125万円) | 制限なし | 全国 |
| ファンド投資 | 25万〜50万EUR | ― | AIF出資等 |
日本人購入に必要な実務コスト(80万EUR物件想定)
| 項目 | 費用率 | 概算額(EUR) | 円換算 |
|---|---|---|---|
| 物件価格 | 100% | 800,000 | 1.32億円 |
| 移転税(Transfer Tax) | 3.00% | 24,000 | 396万円 |
| 付加税 | 0.09% | 720 | 11.9万円 |
| 公証人手数料 | 1.00% | 8,000 | 132万円 |
| 登記料(Ktimatologio) | 0.50% | 4,000 | 66万円 |
| 弁護士報酬 | 1.00〜1.50% | 8,000〜12,000 | 132〜198万円 |
| エージェント手数料 | 2.00%+VAT | 19,840 | 327万円 |
| 鑑定・調査費 | ― | 1,500〜2,500 | 25〜41万円 |
| AFM取得・翻訳等 | ― | 500〜1,500 | 8〜25万円 |
| 合計(物件価格別) | 8.5〜9.5% | 約70,000 | 約1,155万円 |
年次保有コスト(80万EUR物件想定)
| 項目 | 年額(EUR) | 円換算 |
|---|---|---|
| ENFIA(災害保険加入時) | 1,800〜2,600 | 30〜43万円 |
| 補助ENFIA(個人、20万EUR超部分) | 600〜6,900 | 10〜114万円 |
| 管理費・共益費(アパート) | 1,200〜3,600 | 20〜59万円 |
| 火災・家財保険 | 400〜800 | 7〜13万円 |
| 税務代理人報酬 | 500〜1,000 | 8〜17万円 |
| 固定収支(運用前) | 約4,500〜14,900 | 74〜245万円 |
賃貸収益モデル(アテネ中心部80万EURアパート・長期賃貸想定)
| 項目 | 月額/年額(EUR) | 円換算 |
|---|---|---|
| 月額賃料(120㎡×€22/㎡) | 2,640 | 43.6万円 |
| 年間賃料総収入 | 31,680 | 523万円 |
| 空室損失(▲5%) | ▲1,584 | ▲26万円 |
| 実効収入 | 30,096 | 497万円 |
| 経費合計(運営・税前) | ▲5,000 | ▲83万円 |
| 所得税(15/35/45%累進) | ▲約6,800 | ▲112万円 |
| 税引後手取り | 約18,296 | 約302万円 |
| 税引後手取利回り | 約2.29% | |
| ※長期3年免税適用時 | 税引後+6,800EUR | 約413万円/3.13% |
日本人おすすめエリアマップ
| エリア | タイプ | 予算目安 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| Kolonaki | 高級市街地 | 80〜150万EUR | キャピタル重視、文化・大使館街 |
| Glyfada | 海岸高級住宅地 | 80〜200万EUR | リビエラ中核、エリニコン直結 |
| Voula/Vouliagmeni | 最高級海岸 | 150〜500万EUR | ブランド価値・ヴィラ |
| Kifisia | 北部高級住宅地 | 80〜300万EUR | 家族向け・学校・自然 |
| Piraeus(リヴァイタライズゾーン) | 再開発港湾 | 40〜80万EUR | 利回り重視、成長期待 |
| エリニコン(新築) | 最先端再開発 | 150〜500万EUR | ブランド・将来性 |
| パロス島 | リゾート | 60〜200万EUR | 短期賃貸運用 |
| コルフ島 | 新興ラグジュアリー | 50〜300万EUR | ポストミコノス |
税制ハイライト(2026年時点・日本人目線)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 移転税 | 3%(中古)/現在新築にも適用(VAT停止中) |
| キャピタルゲイン税 | 0%(2026/12/31まで停止) |
| 賃貸所得税 | 15%(〜€12,000)/35%(〜€35,000)/45%(超過) |
| 長期賃貸免税 | 120㎡以下・3年以上賃貸で3年間所得税免除 |
| ENFIA保険減額 | 自然災害保険付帯で▲20%(評価額€50万以下) |
| 非Dom制度 | 投資€50万+年€15万定額課税で海外所得非課税 |
| 相続税(配偶者・子) | 1〜10%累進(€150,000非課税枠) |
| 日本との租税条約 | あり(二重課税控除可) |
購入プロセス タイムライン
| ステップ | 期間 | 主な内容 |
|---|---|---|
| ① AFM取得 | 1〜2週間 | 代理取得可 |
| ② 銀行口座開設 | 1〜2週間 | 初回は渡航推奨 |
| ③ 物件選定・交渉 | 1〜4週間 | 複数内見推奨 |
| ④ 予約契約・手付10% | 1週間 | 弁護士介在 |
| ⑤ デューデリジェンス | 3〜6週間 | 登記・抵当権調査 |
| ⑥ 公証人契約・決済 | 1日 | 同日送金 |
| ⑦ 登記完了 | 2〜4週間 | Ktimatologio |
| 合計 | 45〜75日 |
出典
- Astons Greece: Greece Real Estate Investor's Guide
- Astons Greece: Greece Golden Visa 2026
- Immigrant Invest: Greece Property Taxes in 2026
- Grekodom: Ultimate Guide to Property Taxation in Greece 2025-2026
- Global Citizen Solutions: Property Taxes in Greece
- Borderless Lawyers: How to Get a Greek Tax Number (AFM)
- Elxis: New Greece Short-Term Rental Rules 2025
- Investment Visa: Buying Property in Greece in 2026