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【2026年版】米国トークン化RWA市場|Ondo・Maple・BlackRock BUIDLが牽引する$25B規模の新領域
BlackRock BUIDL($3.8B AUM)、Ondo OUSG/USDY、Maple Cash Managementを中心に、トークン化RWA市場$25B規模の構造を解説。日本居住者の税制対応とCRS海外財産調書の実務まで網羅。
読み物パート|2026年4月、トークン化RWAが暗号資産投資の主役に
「RWA(Real World Assets:現実資産)のトークン化」は、2026年の暗号資産投資における最重要テーマである。米国国債・社債・MMF・私募クレジット・不動産を、ブロックチェーン上のトークンとして発行・流通させる取り組みは、2023年に始動した実験段階から、2026年4月時点で総市場規模250億ドル(約3.8兆円)を超える本格的な市場へと進化している。
この変化を牽引しているのは、(1)BlackRockが2024年3月にローンチしたBUIDL(BlackRock USD Institutional Digital Liquidity Fund)、(2)Ondo FinanceのOUSG(Ondo Short-Term US Government Treasuries)、(3)Maple FinanceのCash Management Pool、(4)Centrifuge・Maple・Goldfinchの私募クレジットプロトコル群、(5)Securitize経由のJPMorgan Onyx・Franklin Templeton tokenized fund、という5つの軸である。
特にBlackRockのBUIDLは、2024年3月のローンチからわずか1年強で運用残高(AUM)が38億ドルに達し、トークン化MMFセグメントで圧倒的シェアを占めている。BUIDLは米国短期国債とリポを裏付け資産とし、Ethereum・Aptos・Avalanche・Solana・Optimism・Polygonの6チェーンで発行されており、最低投資額500万ドルというホールセール限定設計でありながら、機関投資家から金融大手プライムブローカレッジ顧客まで幅広く採用されている。日次の利回り分配機能(年率4.7〜5.3%、2026年4月時点)、24/7のミント・リデンプション、ブロックチェーン上のトランザクション記録による完全なオンチェーン・トランスペアレンシーが評価されている。
Ondo Financeはより小売寄りのアプローチを取り、OUSG(米国短期国債トークン、最低投資10万ドル)とUSDY(利回り付きステーブルコイン、利回り日次反映)の2つの主力商品を展開している。OUSGの2026年4月時点AUMは約12億ドル、USDYは約8億ドルに達し、BlackRockに次ぐトークン化米国債プレイヤーとして地位を確立している。Ondoは2026年に入り、ANDOトークン保有者向けのガバナンス機能拡張、Mantle・SolanaへのUSDYマルチチェーン展開、ASEAN拠点の機関営業強化など、成長戦略を加速させている。
Maple Financeは私募クレジット領域に特化し、ホールセール顧客に対する暗号資産担保ローン・信用ローンの提供を行っている。2022年のFTX破綻時にはThree Arrows Capital等の信用ダメージを受けたが、2024年以降の体制刷新で信頼性を回復し、2026年4月時点で運用残高約7.5億ドル、貸出利回り年率8〜12%レンジで安定運用している。
これらRWAプロトコルの台頭は、暗号資産投資が単なるトークンの値動きを追う段階から、「ブロックチェーン上で伝統金融商品を効率的に運用する」段階へと進化していることを示している。日本居住者にとっても、BUIDLの間接保有(米国MMFのトークン化版)、Ondo USDYのリザーブ運用、ステーブルコインのオンチェーン利回り獲得など、新しい資産運用機会が広がっている。
データパート|主要指標の実数値
主要暗号資産・関連指標(2026年4月時点)
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| BTC価格 | $72,500 |
| ETH価格 | $3,850 |
| SOL価格 | $180 |
| BNB価格 | $620 |
| XRP価格 | $0.62 |
| USDT価格 | $1.00 |
| USD/JPY | 152 |
| BTC dominance | 約54% |
| 暗号資産時価総額合計 | 約$2.6T |
| RWAトークン化総市場規模 | 約$25B |
主要トークン化RWA商品(2026年4月時点)
| 商品名 | 発行体 | 種別 | AUM | 利回り | 最低投資額 | 主要チェーン |
|---|---|---|---|---|---|---|
| BUIDL | BlackRock(Securitize経由) | 米国債MMF | $3.8B | 4.7〜5.3% | $5M | ETH他6チェーン |
| OUSG | Ondo Finance | 米国短期国債 | $1.2B | 約4.5% | $100K | ETH/Polygon |
| USDY | Ondo Finance | 利回り付stablecoin | $0.8B | 約4.4% | $500 | ETH/Mantle/Solana |
| BENJI | Franklin Templeton | 米国MMF | $0.6B | 約5.1% | 個人投資家 | Polygon/Stellar |
| FOBXX | Franklin Templeton | 米国国債 | $0.5B | 約5.0% | $500K | Stellar |
| Maple Cash Mgmt | Maple Finance | プライベート信用 | $0.4B | 8〜12% | $250K | ETH |
| TBILL | OpenEden | 米国短期国債 | $0.2B | 約5.0% | $1K | ETH |
トークン化RWA総市場の構造(2026年4月時点)
| カテゴリ | 市場規模 | YoY成長率 | 主要発行体 |
|---|---|---|---|
| トークン化米国債 | $9B | +180% | BlackRock、Ondo、Franklin |
| 私募クレジット | $7B | +120% | Centrifuge、Maple、Goldfinch |
| トークン化MMF | $3B | +250% | BlackRock、Franklin、WisdomTree |
| 商品(金等) | $2B | +35% | Paxos、Tether Gold |
| 不動産 | $1.8B | +90% | RealT、Lofty、Brickken |
| その他 | $2.2B | +60% | (各種ESGトークン等) |
| 合計 | $25B | +135% |
米国機関投資家のトークン化RWA活用事例
| 機関 | 用途 | 規模/開始時期 |
|---|---|---|
| Mountain Protocol | 銀行リザーブのオンチェーン運用 | $300M (2025年9月) |
| Aave Treasury | プロトコルリザーブのBUIDL運用 | $40M (2024年6月) |
| Ondo's Sphera | エンタープライズDeFi接続 | $500M(委託資産) |
| MakerDAO | DAI担保のトークン化米国債 | $2.6B |
| Frax Finance | sFRAX裏付けにOUSG使用 | $250M |
Ondo Finance主要メトリクス(2026年4月)
| 指標 | OUSG | USDY |
|---|---|---|
| AUM | $1.2B | $0.8B |
| 利回り(直近30日) | 4.51% | 4.42% |
| サポートチェーン数 | 2(ETH、Polygon) | 4(ETH、Mantle、Solana、Sui) |
| ホルダー数 | 約450 | 約12,000 |
| 月間ボリューム | $850M | $1.2B |
比較・戦略パート|トークン化RWA投資の3アプローチ
アプローチ1: BlackRock BUIDL(機関投資家・富裕層向け本命)
最低投資額500万ドル(約7.6億円)の壁があるため、純資産1億ドル以上の超富裕層・機関投資家・暗号資産プロトコルが対象となる。日本居住者であっても、シンガポール・ドバイ・スイスのプライベートバンクを通じた間接アクセスは可能であるが、税務面では暗号資産扱いとなる可能性が高く、慎重な検討が必要である。利回り4.7〜5.3%、24/7換金可能、ブロックチェーン上の透明性、という特徴は、伝統的MMF(2026年4月時点で4.5〜5.0%)を上回る商品設計となっている。
アプローチ2: Ondo USDY/OUSG(セミ機関・富裕層向け)
Ondo USDYは個人投資家にもアクセス可能(最低500ドル)で、年率約4.4%の利回りをUSDYトークン保有を通じて獲得できる。日本居住者の場合、Ondoは公式に日本市場展開していないため、IP制限・KYC手続き・銀行送金経路の確保が課題となる。米国・シンガポール・ケイマン経由でのアクセスが現実的選択肢であるが、税務上の取扱いは「ステーブルコイン取引扱い」となる可能性が高く、雑所得最大55%の対象となる。
アプローチ3: 関連株式・トークンへの投資
直接的なRWA保有を避け、関連ビジネスへの投資として、(1)BlackRock(BLK)株式、(2)Coinbase(COIN)株式(Securitize/カストディ業務)、(3)Robinhood(HOOD)株式(トークン化株式取引)、(4)Ondo Finance(ONDO)トークン、(5)Maple Finance(SYRUP)トークン、を組み合わせる戦略である。米国株式分はNISA成長投資枠で取得可能、トークン分は雑所得対象となる。
日本居住者の実務|RWA投資の税制とトラベルルール対応
日本における暗号資産税制は、2026年4月時点で総合課税(雑所得、最大55%)が適用される。トークン化RWA(BUIDL、OUSG、USDY等)も「暗号資産」または「電子的決済手段」として扱われる可能性が高く、売却益・利息収入・配当はすべて雑所得として課税される。2025年末の与党税制改正大綱における「申告分離課税20.315%への検討」が実現すれば、税務環境は大きく改善する見込みである。
実務対応として、(1)RWAトークン保有は個人ではなく資産管理法人を通じる、(2)海外プライベートバンク(シンガポール・ドバイ・スイス)経由の保有を検討する、(3)国内証券口座でBlackRock・Coinbase・Ondo等の関連株式を組み入れる、という3層構造が現実的である。
トラベルルール対応は2023年6月施行の改正資金決済法により、国内取引所間での10万円相当額超の暗号資産送金には送付人・受取人情報の通知が義務化されている。RWAトークンも対象となるため、Ondo USDY等のトークン受け取りには、国内取引所で個別の対応確認が必要である。SBI VC TradeはStandard Custody・Securitize連携を進めており、2026年中にOndo Finance商品の国内アクセス可能性が広がる見込みである。
マイナンバー法上の取扱いとしては、海外金融機関(BlackRock等のFund Manager、Securitize等のIssuer)経由でのRWA投資は、CRS(共通報告基準)による情報交換対象となる。海外口座を通じてRWA投資を行う場合、5,000万円超の海外財産は「国外財産調書」の提出義務が、3億円超(うち1億円以上の有価証券)は「財産債務調書」の提出義務が発生する。これらの開示義務を念頭に、税理士との連携を強化することが推奨される。
まとめ
トークン化RWAは、2024年に始動し、2026年4月時点で総市場規模250億ドルに達する急成長セグメントであり、BlackRock BUIDL・Ondo Finance・Maple Financeが市場を牽引している。利回り4〜5%(米国債連動)から8〜12%(私募クレジット)まで、伝統金融と同等以上の利回りを24/7のオンチェーン環境で享受できることが最大の魅力である。
日本居住者にとっては、(1)BUIDLは超富裕層・機関投資家向け、(2)Ondo USDY/OUSGは中規模富裕層向け、(3)BlackRock・Coinbase等の関連株式はNISA活用可能、という3階層の戦略を組み合わせることで、暗号資産マーケット全体の波に乗りながら、伝統金融の安定利回りも獲得することが可能となる。
2026年下半期以降は、(1)JPMorganのOnyx Digital Assetsのレポ取引拡大、(2)Goldman Sachsのトークン化資産プライムブローカレッジ、(3)Franklin TempletonのTokenized Money Market Fund拡張、(4)WisdomTreeのトークン化ETF拡大、という4つの動きが進行する。日本の金融庁・日銀も「トークン化資産WG」で議論を深めており、2027年以降は国内発行のトークン化商品(MUFG Progmat、JPYCの拡張等)も整備される見込みである。RWAは暗号資産投資の「次の10年」を定義するセグメントとして、長期ウォッチが必須となる。
出典・参照
- SEC EDGAR - BlackRock USD Institutional Digital Liquidity Fund (BUIDL) Filings (sec.gov)
- Ondo Finance公式 - OUSG/USDY AUM & Yield Reports (2026年4月)
- CoinGecko - RWA Tokenization Market Data (coingecko.com)
- Bloomberg - "BlackRock BUIDL hits $3.8B" (bloomberg.com 2026年3月)
- 金融庁 - トークン化資産・電子的決済手段に関する検討会資料 (fsa.go.jp)
- RWA.xyz - Real World Assets Onchain Dashboard